大紀元時報

ピラミッド パルテノン神殿 ダ・ヴィンチのミステリー 黄金比のルーツはどこに

2020年08月11日 02時35分
パルテノン神殿、1978年ギリシャ・アテネにて (CC BY 2.0)
パルテノン神殿、1978年ギリシャ・アテネにて (CC BY 2.0)

「良いものはいつも美しい。美しいものには必ず比率が使われている」

古代ギリシャの哲学者、プラトンのこの格言を裏付けるように、古代建築家はある方法を使ってで建造物を設計していました。それは黄金比(英語ではGolden Ratio、Golden Mean、 Divine Proportionなどと呼ばれる)です。歴代の建築家はこの最も美しいと言われる比率を使い、世界的に優れた建造物を造り出しました。エジプトのピラミッドやギリシャ・アテネのパルテノン神殿などがその例です。黄金比は建造物の基本構造に深く浸透しているのです。

黄金比を理解するには黄金長方形が便利です。長方形の短い辺と長い辺の比率が1:1.618だと黄金長方形となり、その比率が黄金比となります。

黄金長方形:建築家ダグ・パット氏のオンラインコース『The Architect’s Academy』より (Courtesy of Doug Pat)

上の図をもう少し詳しく説明しましょう。黄金長方形の中に短い辺に合わせた正方形を作ると、残りの部分が新しい黄金長方形となります。この黄金長方形の中に更に正方形を作ると、もっと小さな黄金長方形が出来上がります。このように、この作業は永遠に繰り返すことができます。

建築オンラインコース『The Architect’s Academy』を運営する建築家のダグ・パット氏によると、黄金長方形の中に出来た正方形の角を半円を描くようにつないでいくと渦巻き状の螺旋(らせん)が現れるそうです。この螺旋の形は自然界に存在する形と一致しており、銀河系やハリケーン、オウム貝やひまわりの花、私たちのDNAの中にも見ることができます。

古代では、この比率は神聖なものとされていました。建築家、建築写真家のジェームズ・H・ スミス氏は「古代の人々は、この比率は特別な建造物にのみ使われるべきだと理解していました。かく言う私も、この比率を使ったことがありません。自分はまだその領域に達していないと感じるのです」と話しています。
 

建築家、建築写真家のジェームズ・H・スミス氏 (Courtesy of James H. Smith)

だからこそ古代建築家は黄金比の使用を公にせず、黄金比を使う知識を持っていた人だけが知り得たトップシークレットだったはずだとスミス氏は考えています。

しかし、あらゆるものの基本構造の中に黄金比は存在しており、永久に秘密にしておくことは不可能でした。


古代エジプト


エジプト・ギザのピラミッドは紀元前2560年ごろに建てられ、建造物に黄金比が使われた最古の例の1つだと言われています。例えばピラミッドの4つの側面の合計面積を土台の面積で割ると、1.618という数字が導き出されます。
さらにピラミッドの横断図を見ると2つの直角三角形が現れ、その直角三角形の斜辺は186m、ピラミッドの土台の中心点から端までの距離は115mとなっています。186mを115mで割ると、結果はまたもや1.618になるのです。
 

ピラミッドの横断図:建築家ダグ・パット氏のオンラインコース「The Architect’s Academy(建築家アカデミー)」の「黄金長方形」より(Courtesy of Doug Patt)

数学者で建築家のクロード・ゲンツリング氏は『The Revelation of the Pyramids(原題)』というドキュメンタリー番組の中でこのように語っています。「(黄金比は)あちこちにあるので、偶然使われたとは考えられません。率直に言えば、偶然の可能性はゼロです。そう考える方が理にかなっています。確率を割り出すことのできた誰かが、数ある可能性の中から黄金比にかなった数字を選び出したのです」


古代ギリシャ


この神聖な比率は、紀元前5世紀ごろに活躍した彫刻家・画家・建築家のファイディアスにちなんでファイ(φ)と名付けられました。ファイディアスは、パルテノン神殿やこの神殿にまつられている古代ギリシャの女神、アテナ像にもこの比率を使いました。

パルテノン神殿のデザインも黄金長方形の比率の上に成り立っている (Courtesy of Doug Pat)

芸術家のジェイ・ハンビッジ氏は著書『The Elements of Dynamic Symmetry(原題)』の中で、パルテノン神殿の正面図には黄金長方形の比率が使われていると説明しました。

建築オンラインコースを運営するバット氏もこのように述べています。「建造物を見ることは黄金長方形を探る最高の方法です。建造物は窓、扉、部屋、正面などたくさんの長方形から成り立っていますから」

ファイディアスは神殿におさめた『アテナ・パルテノス』という女神アテナ像の彫刻にもこの比率を使いました。例えば、頭から腰までを1とすると、腰からつま先までは1.618の比率になっています。

この何世紀も後、イタリアの芸術家、レオナルド・ダ・ヴィンチは『ウィトルウィウス的人体図』などの解剖スケッチに黄金比を使いました。耳の中には黄金螺旋が描かれ、手と前腕の比率は1:1.618になっているなど、全ての比率がファイと合致したのです。
 

レオナルド・ダ・ヴィンチ『ウィトルウィウス的人体図』(Public Domain)

スミス氏はこのように考察を述べています。「当時の建築家は周りの構造や自然の中に黄金比を見出し、それを創造物の本質だと理解しました。そして神を尊敬し認識していた当時の人々は、神殿など重要な建造物に黄金比を使用し、創造物の本質を実現したのです。これらの場所は神聖な場所となり、神とつながる場所となりました」

しかし、この比率は現代建築にはあまり使われていないと言います。そんな現代建築の未来を、スミス氏はこのように自問自答しています。

「美しい古典建築様式が復活すれば、神とのつながりも復活するのでしょうか? まさにこのことにより美は再興し、私たちは神と再びつながることができると考えています」


J・H・ホワイト氏は、ニューヨークに住む芸術、カルチャー、男性ファッションジャーナリストです。

(大紀元日本ウェブ編集部)

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