2021年3月に行われた全国政治協商会議の閉幕式に出席した習近平国家主席と王滬寧氏( Feng Li/Getty Images)

習近平氏の顧問団「復旦幇」、ナショナリズムの扇動と戦狼外交を考案

近年、中国共産党の習近平総書記の治国や外交政策を支える復旦大学出身の上級顧問グループ、いわゆる「復旦幇」が存在感を増している。

「復旦幇」を率いるのは、中国共産党政権の最高指導部である党中央政治局常務委員会のメンバーである王滬寧氏だ。王氏は、1978年に復旦大学の大学院で国際政治を専攻する院生となってから、1995年に中国の政治の中枢である中南海に赴任するまでの17年間、復旦大学の教授、国際政治学部の学部長、法科大学院の院長を歴任した。

2017年、王滬寧氏は党中央政治局常務委員に昇進し、華々しい出世を遂げた。チャイナ・セブンの1人として、同氏は、イデオロギーとプロパガンダ宣伝を担当しており、習近平氏に「国師」と称された。中国共産党の歴史を見ても、王滬寧氏は非常に珍しい人物だ。江沢民氏、胡錦涛氏、そして習近平氏に仕えてきたことで、「三朝帝師」と呼ばれた。また、党内のし烈な権力闘争に関わらず、指導部に居続ける王氏は「不倒翁」とも呼ばれている。

王氏は中国共産党の政治体制をよく理解し、権力者の心を掴んでいるため、江沢民氏に「三つの代表」、胡錦涛氏に「科学発展観」の理論をそれぞれ考案した。さらに、習近平氏のために「新時代の中国の特色ある社会主義思想」を画策し、党規約に盛り込ませた。

王滬寧氏は、両親が党の高官でないため、「官二代」や「紅二代」ではない。それでも、王氏は中国共産党政権にとって重要な人物となった。同氏は、習近平氏を共産党内において毛沢東に次ぐ権力者に推した。これによって、中国国民の多くは政権1期目で反腐敗キャンペーンを通じて数々の汚職高官を取り締まった習近平氏に失望した。習氏は中国、あるいは世界でも知られる独裁者の1人となった。

実際に、米中貿易戦、中共ウイルス(新型コロナウイルス)の感染拡大、さらに戦狼外交まで王氏のアドバイスに従ったため、習政権は米国などとの関係がこじれ、解決策を見いだせずにいる。

張維為

「復旦幇」のもう1人の重要なメンバーは、復旦大学中国研究院の院長である張維為教授だ。

5月31日、習近平氏は、国際社会に向けた中国当局の発信力の取り組みを強化するため、党中央政治局の会議と集団学習を主宰した。張維為教授はこの日、政治局常務委員会に招かれ、指導部の高官らに講義を行った。このため、同氏は「新しい国師」と呼ばれた。

中国政府系メディアは、張氏の講座の内容を明らかにしなかった。しかし、6月1日、政府系メディア「人民網」は張氏のインタビュー映像を公開した。張氏はこの際、西側諸国は「悪意を持って(中国当局への)理解を間違えている」と非難した。これに対抗するには、「行動を起こして反撃し、揶揄すべき時には揶揄して、一喝すべき時には一喝を食らわすのだ」と同氏は述べた。

張維為氏は中国国内において、「反米専門家」として名を知られている。「中国は全面的に小康(ややゆとりのある)を実現したにもかかわらず、米国では4000万人が未だに貧困に苦しんでいる」という同氏の発言は最も有名だ。

鄭若麟

張維為氏の同僚である鄭若麟氏も、張氏らとともに、中国当局のために「戦狼外交」理論を構想した。鄭氏は復旦大学中国研究院の研究員で、政府系新聞紙・文匯報の寄稿者でもある。

5月10日、鄭氏は中国政府系メディア「観察者網」で評論記事を掲載し、「戦狼外交による世論戦はまだまだ足りない」として、中国批判を強める国際社会に反撃するには、「中国メディアは重要な役割を担うべきだ」と提言した。

同氏は「世論戦の最も重要な特徴は、(主張を)常に繰り返すことだ。繰り返すことは真理である。うその話を1000回繰り返したら、本当のことになるというのは『真理』だ」と述べた。

同時に、鄭氏は中国当局を擁護する「各国の友人を全面的にサポートすべきだ」と提案した。「例えば、彼らの著作権を購入し、彼らのことを全世界に紹介する。また、われわれは中国の報道賞、文学賞を彼らに与え、中国に招待し、あるいは中国の大学が彼らを教授として招へいすることもできる…」

沈逸

復旦大学国際政治学部の沈逸副教授も「復旦幇」の代表格である。同氏は、ナショナリズムに関する過度な発言で、若い愛国主義者に支持されている。

5月1日、中国の警察や司法を統括する共産党中央政法委員会はSNS上で、「中国の点火vsインドの点火」と題した合成写真を投稿し、インドで中共ウイルスの感染が急拡大していることを皮肉った。

同写真には、同じ「点火」でも、中国の宇宙開発が進みロケットを打ち上げる場面に対して、インドは感染で死亡した国民の遺体を焼いている場面が並べられた。この投稿をめぐって、中国国内でも不謹慎だと非難の声が高まった。

しかし、沈逸氏は中国版ツイッター、微博(ウェイボー)上で、同写真の投稿を賛成し、「あばずれ」であるインドに対する普通の対応だと書き込んだ。しかし、沈氏のこの投稿について、共産党機関紙・人民日報傘下の環球時報の胡錫進氏は「冷静に」考えるべきだと呼びかけた。いっぽう、沈氏は、中印関係において胡錫進氏はより強硬言論を取るべきだと返した。

大紀元のコラムニスト、唐青氏は7月5日の評論記事で、「復旦幇」が国内でナショナリズムを煽っていることは、「表では習近平氏の最高指導者としての地位を高めようとしているように見えるが、実際は習氏を未曽有の窮地に追い込んだ」との見方を示した。

習近平氏は、「戦狼外交」で国際社会との衝突が増えたことを意識して、5月31日の党中央政治局の会議で、「信頼され、愛され、尊敬される中国(共産党)のイメージ作りに取り組むように」と幹部らに要求した。

しかし、習氏の発言は矛盾している。7月1日の共産党結党100周年の記念式典で、習氏は、外国勢力は「14億人の中国人民が血と肉で築き上げた鋼鉄の長城に頭をぶつけ、血を流すことになるだろう」などと戦狼発言を繰り返した。

時事評論家の石山氏は「復旦大学のある上海は、中国共産党の元最高指導者である江沢民とその息子の江綿恒氏の本拠地である。江氏親子は復旦大学と緊密な関係にある」と大紀元に語った。

石氏によると、王滬寧氏は江沢民によって抜てきされた。しかし、江沢民派の多くが習近平氏に粛清されて以降、江派閥と習派閥の間の権力闘争が激化した。石氏は、王滬寧氏は「江沢民が意図的に習近平のそばに置いた人だ」とした。

(翻訳編集・張哲)