技術者が北京の遺伝子研究で作業を行っている様子、2018年8月撮影 (GREG BAKER/AFP/Getty Images)

米出版社大手の編集者8人が辞職 中国少数民族のDNA論文掲載が発端

世界的な学術出版社ワイリー(Wiley)の編集者8人はこのほど、中国研究者が作成したウイグル族を含む少数民族の住民の遺伝子研究論文を医学雑誌に複数回掲載した問題で、辞職したことが分かった。論文作成には中国の政府機関や警察当局の協力があった。

米ニュースサイト「ザ・インターセプト(The Intercept)」は4日、ワイリーが発行する医学誌「分子遺伝学およびゲノム医学」(Molecular Genetics & Genomi Medicine)の編集者8人が一斉に辞職したと報道した。辞職の理由は、同誌は以前、中国少数民族の住民のゲノムを解析した研究論文を掲載したためだ。編集部には25人の編集者が所属している。

長年にわたって、国際社会は、中国当局が行っている少数民族の遺伝子に関する研究と、強制的なサンプリングに対して懸念を強め、批判している。海外の多くの科学者は、中国当局は遺伝子データベースや顔認識システムを利用して、少数民族を含む中国国民を監視し抑圧して、全体主義体制を一段と強める可能性があると指摘した。

ザ・インターセプトの報道によると、「分子遺伝学およびゲノム医学」誌の発行目的は遺伝学を通して、医者に病気の治療法を提案することにある。しかし、2019年以降、同誌は、中国人研究者が作成した遺伝学の研究論文を掲載し始めた。なかには、中国の警察当局からの協力を得て、DNAのサンプルを集めたケースもある。

さらに、新疆ウイグル自治区のウイグル人住民とモンゴル族の住民のDNAを分析し、その上、漢民族のDNA少数民族DNAの違いを詳細に比較した論文がある。また、いくつかの論文には、チベット自治区の警察当局を含む各地の警察や関連政府機関は論文作成の協力者であると明記した。

報道によると、ベルギーのルーベン・カトリック大学のイヴ・モロー(Yves Moreau)工業科学部教授は数年前に、これらの論文に着目し、人権侵害の疑いがあると批判した。教授は、すべての科学出版社に対して、中国の治安機関から資金提供を受けた科学者が作成した少数民族の遺伝子に関する論文を撤回するよう呼びかけている。

ワイリー社は、現在これらの論文を調査しているという。

中国メディア「澎湃新聞」は3日、ワイリー社と中国科学技術協会の間で、多角的な発展を模索する覚書を交わしたことを報じた。ワイリー社のフィリップ・キスレイ(Philip Kisray)副社長は、「この協力関係が中国の研究者により多くの支援を提供し、中国の科学研究が世界により大きな影響を与えるのを期待している」と述べた。

(翻訳編集・張哲)