アフガニスタン東部の都市ジャラーラーバードに入ったタリバンの戦闘員(AFP via Getty Images)

中国当局が友好アピールも専門家「タリバンが手のひら返す」と警告 「帝国の墓場」の二の舞になるか

アフガニスタンの旧支配勢力タリバンが同国を掌握したことを受けて、中国の政府系メディアは連日、タリバンを賛美する報道を展開し、米軍撤退はアフガニスタンに混乱を招いたとし、米国の対応を非難した。専門家は、中国当局とタリバンが友好ムードをアピールしているが、テロ組織のタリバンが中国当局に対して手のひらを返す可能性は十分にあると警告した。

中国国営新華社は15日、『カブール陥落は米国覇権主義の零落の鐘を鳴らした』と題した評論記事を掲載した。記事は、米軍のアフガニスタンからの撤退は、「サイゴン陥落」の歴史を繰り返したと主張した。「『カブール陥落』は、米国は(過去20年間続いたアフガニスタン紛争という)長い戦争において成功しなかったことを意味する」「『カブール陥落』は米国の国際的イメージと信頼性が崩壊したことを意味する」などと記事は指摘した。

新華社14日付の評論記事は、米政府が外交官らを国外に退避させるために、アフガニスタンに兵士3000人を派遣する計画について、「さらなる混乱を招く」と非難した。

いっぽう、中国政府系メディアはタリバンを賛美している。共産党機関紙・人民日報や新華社は15日、タリバンのザビフラ・ムジャヒド(Zabihullah Mujahid)報道官の話を引用し、「市民の安全を守り、社会の秩序を維持するために、タリバン戦闘員がカブールに入った」などと報道した。

蜜月関係が続かないとの指摘も

人民日報傘下の環球時報英語版は15日、専門家の話として、米軍が撤退した後、中国当局はアフガニスタンへの部隊派遣はしないと明らかにした。同記事は、中国当局はアフガニスタンの「安全と安定が回復したら」、「(同国の)戦後の復興と開発に貢献し、中国が提案する『一帯一路』プロジェクトを推進することだけを望んでいる」と主張し、同地域での影響力拡大を示唆した。

米ラジオ・フリー・アジアは16日、匿名の専門家の話として、中国当局にはアフガニスタン情勢を安定化し、地域の平和を構築する力はないと指摘した。

同専門家は、「中国当局が中国モデルを用いて、アフガニスタンおよび中央アジア地域の平和を保障できるかは、米軍撤退後に中国当局に残された課題だ。個人的に、中国当局がアフガニスタン問題を処理できるとは思わない」と話した。

また、北京市に住む学者の季風氏は、タリバンは「(中国当局にとって)注意を払うべき相手だ」と警告した。

タリバンは中国当局に対して突然、態度を変えて相手にしなくなる可能性が大きい。彼らはいったん勢力基盤が安定したら、態度を変えるに違いない。なぜなら、利益の追及がタリバン政権の本質だからだ」と両者の蜜月関係が長続きしないことを強調した。

季風氏は、宗教が同じとの理由で中国当局は実際、タリバン新疆ウイグル人との接触に神経をとがらせていると指摘した。

中国の王毅外相が7月末、天津市でタリバンの代表団と会談した際、アフガニスタンでの「穏健的なイスラム政策を望む」と要望した。

タリバンとの接近は足かせになる可能性」

タリバンとの接近は中国政府の足かせになりかねないとの見方もある。天安門事件の学生指導者で歴史学者の王丹氏は、タリバン新疆ウイグル人の境遇を見て見ぬふりすれば、内部分裂を起こしかねないと指摘。中国の王毅外相は7月、タリバン高官と面会の際、新疆過激派の後ろ盾と目されている東トルキスタン・イスラム運動と「一線を画す」よう求めた。

また、アフガンが再びテロリストの温床になった場合、タリバン支持の中国がその責任を言い逃れできなくなると、王氏は述べた。

中国当局がタリバンと親密な関係を築くもう一つの目的は、パキスタンなどで展開している「一帯一路」プロジェクトの安全を守ってもらうためだが、世界ウイグル会議の中国事務委員会主任のイリシャト・コクボレ氏は、これは「虎に皮をよこせと頼む」ような、可能性がほぼないことだと切り捨てた。「タリバンは烏合の衆だ。中央の指令が実行される保証はない」という。

王丹氏は「帝国の墓場と言われてきたアフガンに介入する中国は、その例外になれるのだろうか」と中国もアフガン紛争の泥沼にはまる可能性を指摘した。

アフガンの別名でもある「帝国の墓場」とは古代ギリシャ、モンゴル帝国、ムガル帝国、大英帝国、ソ連、そして米国はいずれも同地域の紛争に介入したが、最終的に失敗したことから名付けられた。

(翻訳編集・張哲/李沐恩)