中国の武漢ウイルス研究所(Wuhan Institute of Virology)(HECTOR RETAMAL/AFP via Getty Images)

「パンデミックに乗じて」裏目に出た中国共産党の行動 米専門家が語る

ブルッキングス研究所の外交政策担当のトーマス・ライト(Thomas Wright)上席研究員は、このほど英文大紀元のインタビューに応じ、パンデミック後の欧米と中国共産党(以下、中共)の関係について、自身の見解を語った。

ライト氏は、バイデン政権で政策担当の国防次官を務めているコリン・カール(Colin Kahl)氏との共著である新著『余震:パンデミック政治と旧国際秩序の終焉』で、中共が、武漢で中共ウイルス(新型コロナウイルス)が発生した後、情報を隠蔽し、パンデミックに乗じて国際影響力を高めようとしていたことを詳述している。

同書の中で、ウイルス発生後、恐怖を覚えた中共が最初にとった行動は情報の隠蔽だったと書かれている。「ある米国大使館員は、中国の政府関係者が(パンデミックの初期に)これほど『自信がなく、警戒し、神経質になっている』のを見たことがないと語った。北京は、このような失態が外部に漏れれば中共にダメージを与えると考えたため、習近平政権は公式見解と異なる国内の反対意見を素早く抑制した」という。

ライト氏は、「2020年1月当時、(中国の)政府関係者は強い恐怖を感じていたに間違いない。この恐怖心から、中共は情報の抑圧と隠蔽を強めた」と指摘した。

中共の抑圧的な行動により、中共ウイルスが世界中に蔓延し、制御できなくなったにもかかわらず、他の国々、特にヨーロッパの国々は当初、善意から中国に多額の援助を提供した。その数カ月後、ヨーロッパでパンデミックが猛威を振るっていた頃、中共は、いわゆる「マスク外交」などを通じて、世界のリーダーとしての地位を確保するため、パンデミックを利用しようとしていた。

同書では、パンデミックの発生当初、欧州連合(EU)が中国政府の面子を配慮し、中国への救援物資を慎重に手配したことが紹介されている。フランスのマクロン大統領は、「中国政府はこの親切な行為を忘れないだろう」と側近に語ったほどだという。

しかし、ヨーロッパがパンデミックに見舞われたとき、「中国はそれに応えるかのように援助を開始したが、援助物資の到着に合わせて大規模な広報活動を行うよう被援助国に要請した。中国の援助は見返りを求める取引だった」としている。

「イタリアが中国に30トンの医療機器を寄付したが、中国はのちにイタリアに返却したとき、代金をイタリア政府に請求した」という。

アイルランドのダブリンで生まれ育ったライト氏は、パンデミック関連の援助で見られた中共の不愉快な振る舞いは、ヨーロッパ諸国にとって「やや衝撃的」であると述べた。

中共の行動は、期待した効果が得られなかっただけでなく、他の国々にも非常に不快な思いをさせた。

「特にヨーロッパでは、中国政府に対する態度や政策が劇的に変化している」

ヨーロッパ各国はその後、中国の企業による企業買収や、中国の通信機器大手華為技術(ファーウェイ)の排除、中国への経済的依存度を下げるための国際関係の多様化などの対策をとった。

「(ヨーロッパ人は)中国(共産党)の香港市民への弾圧や、新疆ウイグル自治区のウイグル人への大規模な弾圧に対し、より自信を持って発言するようになった」と著者は書いている。

米政府によるウイルス起源調査は「継続すべき」

米情報機関が8月24日、中共ウイルスの起源に関し、明確な結論のない調査結果をバイデン大統領に提出した。これに対し、ライト氏は、米政府は今後もパンデミックの起源に関する調査を続けるべきだと述べた。

「実際に何が起こったのかを知るために、真相を究明することが重要である」とライト氏は英文大紀元に語った。

同氏は、中国政府が協力を拒み、妨害してきたことを考えると、結論の出ない調査結果に「驚かない」との見解を示した。「適切な調査を行うには中国政府の協力が必要である。しかし、明らかに中国政府は協力を拒否しているため、調査が非常に困難になっている」という。

パンデミックの発端が武漢ウイルス研究所からの漏洩なのか、武漢生鮮市場経由なのかについてはまだ疑問が残るが、パンデミックの発端が中国であることは明らかだ」とライト氏は付け加えた。

「中国がパンデミックの発生源であるという圧倒的な証拠があり、中国政府以外は、誰も異論がないだろう」

自由な社会、中共にとって「本質的な脅威」

ライト氏はさらに、米国と共産主義中国との間で繰り広げられている闘争の全体像について語った。

「世界がどうあるべきかについて、全く異なる2つの考え方がある。中国政府は基本的に、共産党政権にとって世界が安全であることを望んでいる」と指摘した。

一方、米国とその同盟国は、「民主主義と自由社会にとって安全な世界を望んでいる」とし、このビジョンは中国の政権にとって「本質的に脅威」であるとライト氏は述べている。

ライト氏は、世界がますますナショナリズムを強め、「国境を越えた動きにどう対処するか」についての合意が得られない中、米国は「志を同じくする国や民主主義国と協力する」ことができると述べた。

ライト氏はまた、全体主義的な中国の脅威に立ち向かうことは、米国政治における数少ない超党派的な問題の一つであると述べた。

「特に、長期的な対中関係については、多くの点で共通の認識がある。私たちは、中国政策の多くの分野で成功を収めている」

ライト氏は、米政府が今後も中共に対抗する手段を強化していくと考えている。

「米国が衰退していると考えている国、特に中共は間違いを犯している。米国には変わらぬ強さがある」とライト氏は強調し、「中国政府がこの目標を達成できるとは思えない」と締めくくった。

(文・Adam Michael Molon/翻訳編集・王君宜)