2021年9月6日に急死したドイツのヘッカー駐中国大使(Photo by Adam Berry/Getty Images)

ドイツ駐中国大使急死、メルケル氏の対中宥和政策が頓挫か

在中国のドイツ大使館は6日、8月24日に赴任したばかりのヘッカー駐中国大使(54)が急死したと発表した。ドイツメディアは、ヘッカー氏の死去によってメルケル首相の対中宥和政策は頓挫したとの見方を示した。

ヘッカー氏は政界に入る前、弁護士を務める傍ら、大学で副教授として教鞭も執っていた。2017年以降、メルケル首相の対外政策顧問に就き、政府の外交政策・安全保障・発展政策局の局長を務めていた。

独週刊誌、デア・シュピーゲル(Der Spiegel)によると、政府内で外交を担当していたヘッカー氏は、難民政策などで注目された。首相は、同氏や首席経済顧問のラース・ヘンドリック・ローラー(Lars-Hendrik Röller)氏など若手ブレーンを重用しているという。ヘッカー氏とローラー氏は、首相のすべての外国訪問に同行したという。

メルケル首相は声明で「ヘッカー氏の死に衝撃を受けた」「私は、深い人間性と卓越した専門性を備え、高い評価を受けている長年の顧問を失ったことを悲しく思っている」と述べた。

ヘッカー氏の死因は特定されていない。

デア・シュピーゲル誌によると、ドイツ政府の高官の中で、ヘッカー氏のようにメルケル首相の外交政策に多大な影響力を持つ人は他にいないという。

メルケル氏が首相に就任してから、中国当局との友好関係を維持してきた。近年、ドイツの国民だけでなく、多くの専門家や政治家の中国共産党政権に対するイメージが悪化した。メルケル首相対中政策はこうした国民の意見を反映していない。「首相の外交顧問であるヘッカー氏がこの路線を維持していたのだろう」と指摘する声がある。

メルケル首相は今年秋に退任すると表明した。国内では、次期政権は中国当局に対してより厳しい態度を取るとの見方が広がっている。

デア・シュピーゲル誌は、最側近のヘッカー氏を駐中国大使に任命したことは、メルケル首相が離任前の重要な人事決定だったとの見解を示した。首相は自身が政権から離れても、自らの対中政策がある程度継続されることを望んでいる。しかし、ヘッカー氏の急死で、首相の計画は水の泡になった。

独週刊誌フォーカス(Focus)は、メルケル首相が対中穏健派の同氏を中国大使に任命したのは、現在の対中政策の方向性を維持するためだとの見解を示した。同誌は、欧州各国と中国当局の間で緊張感が高まっているにもかかわらず、首相は「自制していた」と批判した。

メルケル政権は数年来、中国当局による人権侵害を批判していた。中国はドイツの重要な貿易相手国であるため、経済重視の同政権は痛烈な非難を避けてきた。米国のバイデン大統領は6月、中国共産党政権への対抗で同盟国との連携を強化するために、「民主主義国の同盟」の構築に関して意欲を示した。メルケル首相は、バイデン大統領の提案への参加について明言しなかった。

(翻訳編集・張哲)