2019年7月28日、米ニューヨーク市のアーサー・アッシュ・スタジアムで、ゲーム『フォートナイト』の国際大会「フォートナイト・ワールドカップ」が開催された(Johannes Eisele/AFP via Getty Images)

中国はゲームを利用して米国若者に影響力発揮

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中国当局は、中毒性のあるゲームを利用して、慎重に計略された強力なプロパガンダを広めようとしている。

当局は、国内のゲーマーに対して、新しいルールを公表したばかりだ。月曜日から木曜日まで、18歳以下の子どもはオンラインゲームをしてはいけない。その代わりに、金土日の3日間と祝日はそれぞれ1時間のプレイを許可する。

英BBCのサム・シェード(Sam Shead)記者は最近、中国の「ハイテク巨人(ハイテク大手企業)」による世界中のゲーム会社の買収が加速化していると指摘した。シェード氏は、これらの買収を通じて、ゲームは「今後数年間で、少し違ったものになる」との見方を示した。実際に、中国当局が深く関わっているため、「ソフトパワー」の最も強力な形態の1つであるゲームは将来、かなり違ったものになると考える。

ソフトパワーと策略

1980年代後半、ハーバード大学のジョセフ・ナイ(Joseph Nye)教授が「ソフトパワー」という新しい言葉を作り出した時、教授はゲームが人々を説得するための武器になる日を想像しただろうか。予想できなかったとも言える。

昨年、ゲーム業界の収益は、映画業界とスポーツ業界を合わせた収益を上回った。私はナイ教授に連絡し、この問題についてコメントを求めた。政治理論家であるナイ教授は、ソフトパワーは「強制や金銭ではなく、魅力を通じてほしいものを手に入れる能力」に過ぎないとした。半世紀以上の間、「ハリウッド映画」はこの役割を果たしてきた。しかし、今日ではゲームがハリウッドに取って代わる。

ゲームについて議論する場合、中国に言及しなければならない。現在、中国には7億4300万人のゲーマーがいる。2025年には、中国のゲーマーの人数は7億8000万人に増える見通しだ。主要なゲーム開発者にとって、中国は一種の「聖杯」になっており、中国市場を通して数百億ドルも儲けられる。ただし、外国資本にとっては、(中国ゲーム市場への)参入障壁が数多くある。英紙ガーディアンのオリバー・ホームズ(Oliver Holmes)記者が報道したように、中国で事業を展開しようとする外国のゲーム会社はまず、「現地のパートナー」を見つけなければならない。

中国大手企業の1つであるテンセント(騰訊控股)は今、仲介者となって、欧米の開発業者と中国本土の企業を結び付けている。ホームズ記者によると、このハイテク大手は西側のゲーム会社を部分的に買収して、これらの外国企業が「儲かる中国ゲーム市場にアクセスできる」よう支援している。

当然のことながら、テンセントの支援を得るにはかなりの代価を支払わなければならない。他のメディアでも議論したように、テンセントは中国当局と密接な関係を持っている。過去数年間、このハイテク大手は、アクティビジョン・ブリザード(Activision Blizzard)やエピックゲームズ(Epic Games)など、世界最大のゲームソフト開発会社への投資や買収を次々実行した。エピックゲームズは世界で最も人気のあるゲーム、フォートナイト(Fortnite)を開発し、運営している。

中国当局のテクノロジー政策に詳しいジョーダン・シュナイダー(Jordan Schneider)氏とデイブ・アイテル(Dave Aitel)氏はウォール・ストリート・ジャーナル紙に寄せた記事の中で、米国人は中国資本が入っているゲームに途方もない時間を費やしているとした。両氏は、この現状が「米国の国家安全保障への直接的な脅威」をもたらしたとの見方を示した。中国当局は、米市民に対して「すでにゲームを利用してソフトパワーを広め、米市民に関するデータ情報を収集している」と両氏は警告した。

バーチャルリアリティー(VR)のヘッドセットや触覚グローブを通じて、ゲームの没入感が増すにつれ、開発者はより多くの生体データにアクセスできるようになった。注意しなければならないのは、中国当局は世界で最も生体データを乱用している政権であるということだ。

現実の再定義

人々がオンラインで過ごす時間が増えるにつれ、ゲームは、適応性のある若者の心をコントロールする有効な手段となりつつある。米国は世界最大のゲーム市場で、1億人以上のゲーマーを持つ。多くのゲーマーは毎日12時間以上プレイしている。

映画は、印象操作において最も影響力のあるメディアだったが、今その魅力をほとんど失ってしまった。テレビの視聴率が急低下し、失敗に終わった近年のアカデミー賞授賞式を見ればわかるだろう。トム・クルーズ、レオナルド・ディカプリオ、スカーレット・ヨハンソン、マット・デイモン、マーゴット・ロビーらの各氏は、Blaze、Peely、Fishstick、Midas、Astro Jackらと競い合えない。これらの架空のキャラクターは世界中の32億4000万人のゲーマーを魅了し続けている。その通り、世界の人口の半分はゲーマーである。中国当局はこの事実を忘れていない。

中国とその新しい国内規制の話に戻そう。フェイスブックとツイッターは中国本土で禁止されているが、それでも中国当局はこの2つのツールを使って、海外で虚偽の情報を流している。米国で8000万人のユーザーを掲げる中国系アプリTikTokには、監視ソフトが搭載されている。これらの手段で集められたデータはどうなるのだろうか。これは、中国当局と共有されていると考えるのが妥当である。ゲームでは、中国当局がさらに多くの個人情報にアクセスできるだろう。

(文・John Mac Ghlionn/翻訳・張哲)


執筆者:ジョン・マック・グリオン
研究者、エッセイスト。ニューヨーク・ポスト紙、シドニー・モーニング・ヘラルド紙、アメリカン・コンサーヴァティヴ誌、ナショナル・レビュー誌に寄稿する。ネットメディア「コインテレグラフ」のコラムニストとしても活躍している。