カナダのジャスティン・トルドー首相と中国の李克強首相。2017年12月4日撮影。 (Photo credit should read FRED DUFOUR/AFP via Getty Images)

カッコいい、カリスマ性ある…加首相もてはやす中共出版社 自叙伝を政治利用か=報道

ジャスティン・トルドー加首相の自叙伝を出版したカナダの出版社が以前、中国の国有出版社と合意して、同書の中国語版を中国で出版していたことが最近報道され、国内で物議を醸している。カナダ政府高官はこの中国語版の出版について、相談を受けていなかったという。専門家は、自叙伝が政治利用されかねないとして懸念を示している。

トルドー氏の自叙伝『コモン・グラウンド』が出版されたのは、同氏が首相になる以前の2014年。トルドー政権は2015年に発足。翌2016年に、中国国有企業・江蘇鳳凰出版伝媒が所有する中国南京訳林出版社が、書名を『伝奇再続』(意味:伝説は続く)に変え中国語版を出版した。

2016年当時、カナダと中国は急接近をみせた時期だ。両国は自由貿易協定FTA)の交渉が始まり、中国主導国際金融機関・アジアインフラ投資銀行(AIIB)にカナダが参加を表明。さらには、中国共産党が海外に逃亡した汚職高官らを送還する「キツネ狩り」の協力をカナダに求めた。

外国要人の自叙伝出版、中国共産党による「ご機嫌取り」=専門家

加紙グローブ・アンド・メール14日付によれば、カナダ政府高官らは、中国共産党政権は外国要人の「ご機嫌取り」として政治利用するために、自叙伝を中国で出版すると指摘した。

同紙によると、当時、中国で宣伝されたトルドー氏自伝の広告には、同氏をかなりもてはやした内容がある。「トルドー氏には父親由来の優れたカリスマ性とリーダーシップがある」「ハリウッド・スターのような顔立ち」など。

同紙は、中国語書名『伝奇再続』が中国共産党と最初に関係を築いた父ピエール・トルドー元首相(故人)の親中路線を思わせると指摘した。父トルドー政権は70年、西側のどの国よりも最初に中国と国交を結び、以後も友好関係を推進した。

この本が中国で発売されると同時に、中国の億万長者らが相次ぎピエール・エリオット・トルドー財団に寄付。加えて、中国当局とつながりのあるビジネスマンが、トルドー氏の所属する自由党に現金募金の政治支援を行った。寄付をしたもののなかには、中国共産党の対外宣伝の主要担当者でもある張斌(ちょう・ひん)氏も含まれる。

2012年から2016年までカナダの駐中国大使を務めたガイ・セイント・ジャックス氏は、自叙伝の出版計画を知らなかったとグローブ・アンド・メール紙に語った。「中国共産党はプロパガンダの達人だ。自伝の契約は中国共産党が外国指導者の機嫌を取るための戦略の一環」であると指摘した。

エポック・メディアグループの新唐人テレビ(NTD)の取材に応じた野党・保守党ガーネット・ジュニュイス議員は、「カナダの首相が中国国有企業と出版契約を結んでいることを強く懸念する」とコメントした。

トルドー氏は2015年の首相就任の翌年に訪中。貿易拡大など両国関係を強化を試みるが、中国共産党政権は、カナダの人権に関する基本的な要求を受け入れなかった。2018年、カナダは米国の要請に基づき、華為技術の財務最高責任者(CFO)をイラン制裁違反容疑で逮捕すると両国関係は冷え込んだ。2020年、カナダ外相のFTA交渉も「中国の威圧的な態度」を理由に中止となった。

(翻訳編集・蘇文悦)