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銀河系には多くの有機物が存在し、宇宙人は想像以上に多く存在するかもしれない

人々は、地球外生命体が存在するかどうか、ずっと関心を持っていました。地球上の生物は、有機分子を大量に必要とするので、似たような地球外生命体を探すには、有機物を探すことが重要です。宇宙空間にたくさんの有機物質があれば、生命が育まれる可能性があります。

最近の研究では、若い星の周りの物質が発する光を分析することで、生命の基盤を形成するために必要な、大きな有機分子の重要な貯蔵庫を発見しました。論文の筆頭著者である、イギリス・リーズ大学のポスドク研究員(博士研究員)であるジョン・イリー氏によると、今回の発見は、地球上に生命が存在する基本的な化学的条件が、銀河系内に広く存在する可能性を示唆しているといいます。

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 研究チームは、生まれたばかりの星を取り巻く原始惑星系円盤の中に、大きな有機分子を発見しました。現在の理論では、太陽が形成された直後に似たような原始惑星系円盤が進化し、現在の太陽系の惑星が形成されたと考えられています。

これらの有機分子の存在は、宇宙空間に豊富に存在する一酸化炭素などの、より単純な炭素系分子や、生命誕生に必要な、より複雑な有機分子と密接に関連している点で重要です。

「このような巨大で複雑な有機分子は、宇宙のさまざまな環境に存在しています」とジョン・イリー氏は声明を出しています。

「実験室や理論的な研究によると、これらの分子は、地球上に存在するものと同様の、生化学分子を構築するための『原材料』であり、適切な条件の下で、糖やアミノ酸、さらにはリボ核酸(RNA)の構成要素を作り出すことが示唆されています」

「しかし、このような複雑な有機分子がこれまでに発見された環境の多くは、惑星が形成されたと考えられている場所や時期とはかけ離れています。 私たちは、惑星が生まれた場所である原始惑星系円盤における、これらの分子の正確な位置と量をもっと知りたいと考えています」と声明を発表しました。

アルマ望遠鏡ALMA)を用いることで、これらの分子からの信号を検出することができました。それぞれの分子が、明確に異なる波長で光を放つことで、スペクトル上にユニークな「指紋」ができます。この指紋によって、科学者は分子の存在を識別し、その特性を研究することができます。

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論文の共同研究者であるリーズ大学のキャサリン・ウォルシュ博士は、「ALMAの強力な機能は、近くの若い恒星の周りで、惑星を構成する物質の分布と組成を測定することを、初めて可能にしました。ALMAの機能は、生命の基盤となる大きな有機分子を検出するのに十分なものです」と説明しました。

研究チームによると、おおかみ座IM星、ぎょしゃ座GM星、AS 209、HD 163296、MWC 480という、5つの若い星の周囲にある原始惑星系円盤の中に3つの分子——シアノアセチレン、アセトニル、シクロプロペニリデンなどの複雑な有機分子の分布も明らかにされたとのことです。これらの原始惑星系円盤は、地球から300~500光年離れています。全ては内部で惑星が形成されていることを示しています。

惑星は、原始惑星系円盤から物質を吸収して、徐々に形成されます。 例えば、初期の地球は、太陽の周りの原始惑星系円盤で形成された小惑星や、彗星が衝突することで核ができ、その後、原始惑星系円盤の物質を徐々に吸収して、現在の地球に成長したと考えられています。

しかし、すべての原始惑星系円盤に、生物学的に意味のある物質を生み出すことができる複雑な有機分子が含まれているかどうかは、科学者にもわからないのです。
この新しい研究は、この疑問に答えるものです。 観測された5つの原始惑星系円盤のうち、4つの原始惑星系円盤では、有機分子が発見されました。さらに、有機分子の存在量は、科学者が予想していたよりも多く存在していました。

アルマ望遠鏡のおかげで、原始惑星系円盤の最深部に存在するこれらの分子を、太陽系と同程度の大きさで初めて観測することができました」とイリー氏は語ります。「 私たちの分析によると、これらの分子は、これらの内側の領域に多く存在し、その存在量は、モデルで予測されたよりも10倍から100倍多いことがわかりました」

重要なことは、原始惑星系円盤の中で分子が存在する領域は、小惑星や、彗星が形成される場所でもあるということです。 イリー博士は、原始惑星系円盤では、小惑星や、彗星の衝突も起こりうると指摘します。 これにより、大きな有機分子が新たに形成された惑星に転送され、地球のような生命体の形成と進化が始まると考えられます。

ウォルシュ氏は「この研究の主な結果は、私たちの惑星で、生命を生み出すのに必要な同じ成分が、他の恒星の周囲にも存在することを示しています。惑星で、生命を誕生させるために必要な分子は、惑星を形成するすべての環境に容易に存在する可能性があります」と付け加えました。

つまり、銀河系内の他の星の惑星には、有機物が豊富に存在する可能性があり、これまで考えられていたよりも、はるかに多くの異星人の生命が、進化している可能性があるのです。
研究チームが次に取り組む問題の1つは、原始惑星系円盤にもっと複雑な分子が存在するかどうかです。

イリー博士は、「これほど多くの分子が見つかるのであれば、星間化学に関する現在の理解では、より複雑な分子も観測できるはずです」と付け加えました。

「私たちはALMAを使って、これらの原始惑星系円盤における、化学的複雑性の次の指標を探したいと考えています。それが見つかれば、生命の原始成分が他の星の周りでどのように誕生し、進化してきたのかを知ることに、より近づくことができます」

この新しい研究は、間もなく『アストロフィジカルジャーナル・サプリメントシリーズ』に発表される予定で、研究チームは9月15日に論文をarXivサイト(arXiv.org)にアップロードし、無料で閲覧できるようにしました。

(翻訳 源正悟)